きもの in ロサンゼルス


みなさん、こんにちは!
すっかりご無沙汰ですが、第2期ブログチームだった潮風です。
夏にロサンゼルス事務所に異動になり、ひろーいアメリカでの文化交流、日本語教育の現場を日々勉強中です。


ロサンゼルスいえば・・・HOLLYWOOD!って連想する人も少なくないと思いますが(潮風も赴任後、初めてあのサインを見たときは大興奮)、その映画業界・ファッション業界の方々を対象に、きものショーが先月開催されました。


*1


ショーといっても、単なるファッションショーではなく、着物や帯の作られた方、帯の結び方、デザインに込められている想いなどについて紹介する、レクチャー&デモンストレーションイベントでした。


ハリウッド映画の中には、着物っぽい衣装も時々見かけますよね。
そういうとき「あ!これ着物だ〜日本だ〜」って私は嬉しくなるのですが、
「・・・なんか変。」
って思うときもなくもない。もちろん演出とかによって、多少アレンジがあるのは当然のこと。でもやはり業界の方々自身が「本物」もちゃんと知り、日本文化を理解しているのと、知らないのでは、創りあげられるもの・生まれてくるものも違うのではないか。もっともっと素敵な着物、日本文化を発信していってほしい。
今回はそんな考えから、在ロサンゼルス日本国総領事館とジャパンファウンデーションの共催で、ショーが実現したのです。*2


講師は日本のテレビや映画でも活躍されている冨田伸明さん。冨田さんはきものスタイリストでもあり、探し求めている着物がなければご自分でプロデュースもされるきものデザイナーでもいらっしゃいます。ジョークと交えた楽しいトークを繰り広げながら、反物という一枚の長い布から着物は仕立てられていること、時代や用途によって、様々な着物のデザインがあり、着こなし方があること、実際の着物を観客に見せながら紹介されていました。



中でも潮風の印象に残っているのは「着物には想いが込められている」というお話。着物や帯は祖母→母→子と受け継がれ、母は子を想いながら子の帯を締め、いずれ子も受け継いだ着物を見て母を想うもの。古くなった着物はまた反物に戻すことができるので、内掛けやクッションカバーなど、姿を変えてまた使い続けることができる。冨田さんはそういう想いを大切にして着物を着てほしい、とおっしゃっていました。
冨田さんには「美しいもの、感動したものに出会ったときに着物をつくりたくなる“悪い癖”がある」そうです。そうおっしゃってショーの中で紹介されたのは美しい富山県氷見市から見た立山連峰の風景を閉じ込めた帯、秋田県増田町の内倉をデザインした帯、兵庫県豊岡市コウノトリが活き活きと羽ばたいている帯などです。まさにこれらの感動、自然や伝統を大切に想う心が込められているからこそ、冨田さんの着物やお話は外国人の方々も魅了されたのだと感じました。


観客の皆さんからも、

着物の仕立ての過程を初めて知った。非常に細かい作業を経ていて、素晴らしい技術!仕立て屋が減ってきていると聞いたのはとても残念。

(歌舞伎の衣装は100年に1回ほどしか新調されないと聞いて)着物が世代を超えて、大切に受け継がれていることを知って驚いている。とにかく美しかった。

といった声が聞かれ、目の前に広がった着物の世界を楽しんでいただけたようでした。


さて、こんな魅力溢れる冨田さんの講演、実は今年の3月に、ジャパンファウンデーション主催で、このときは一般の方々への着物レクチャー&デモンストレーションイベントとしてアメリカ6箇所を巡回するツアーを行いました。そのときの模様はテレビでも特集として放映され、そのようすはなんとYouTubeで視聴可能になっています。*3
みなさん、ぜひぜひ、冨田ワールドを垣間見てください〜〜↓↓


*1:ちなみに、今回は日本語を教えている地元の学校の校長先生や生徒さんなどにもモデルをお願いしました!もちろん着物を着るのは初めて。みなさん、貴重な機会ってことでとても楽しんでいらっしゃいました。

*2:観客の中には、「SAYURI」をつくったソニーピクチャーズの衣装担当の方やエミー賞監督賞にノミネートされたこともある映画・TV制作関係の方もいらっしゃってたんですよ。さすがは「本場」ですよね!

*3:ロサンゼルス事務所で過去におこなった他の文化事業のVideoもいろいろ事務所HPで公開されています。ぜひぜひご覧下さい!