現地職員訪日研修


最近、ポール・トーマス・アンダーソン作品にはまっている久保田です*1


さて今日はJFの職員研修の1つ現地職員訪日研修についてとりあげます。
国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は現在、海外19ヶ国・20都市に
21の海外拠点(以下、事務所と略しますね)を持っていることはすでにご案内の
とおりかと思います。10月はじめ、そのうち6つの事務所から現地職員の方々が1名
ずつ来日し、約2週間の研修に参加しました。


今回の研修分野は日本語教育基金本部での各種ブリーフィングはもちろんのこと、
浦和の日本語国際センター、大阪の関西国際センター、京都支部といった
JF付属機関や支部、加えて、にほんごの凡人社、アルク早稲田大学大学院
といった日本語教育関連機関での研修・取材、さらには京都精華大学、京都
国際マンガミュージアム横浜トリエンナーレ、歌舞伎観賞と内容は本当に
盛りだくさん。僕も日本語能力試験担当としてブリーフィングさせて頂きました。


今回参加したメンバーは、

金さん(ソウル日本文化センター
張さん(北京日本文化センター
Apinさん(ジャカルタ日本文化センター
Chanidaさん(バンコク日本文化センター
Kimさん(ロンドン事務所)
Vanさん(ベトナム日本文化交流センター)

 

の6名(写真はジャパンファウンデーションの小倉理事長(中央)を囲んでの1枚)。
「みなさんはこの研修でどんなことを学ばれたのだろう?」
そんな思いを抱きつつ、研修のWrap-upの時間にお邪魔してきました。

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久:まずはソウルの金さんから、今回の研修の感想を教えて頂けますか?


金さん:私は4年前にも日本研究・知的交流分野の研修に参加した
ことがあったのですが、そのときの研修は今回のようなグループ
研修ではなく、1人で研修を組み立てる形でした。グループ研修の
よいところは、他の海外事務所の職員とつながりができ、いろいろ
と情報交換ができることだと思います。


訪問先で印象に残ったのは、日本語国際センターと
関西国際センターでした。いま両センターには
ちょうど韓国からの研修生が来ています。
彼らとは研修参加申請の際にソウル日本文化
センターで会ったことがありますが、実際に
両センターで研修に参加している彼らの明るい
顔を見て、担当者としてやりがいを感じました。


久:なるほど!続いてジャカルタのApinさんは如何でしょう?


Apinさん:私も2回目の参加で、前回は15年前でした。
一番印象に残ったのは関西国際センターを初めて訪問できて、その
センターで研修生と会えたことです。いまEPA協定で介護福祉士
目指すひとたちが関西での研修を受けています。出国前、彼らと
ジャカルタで会いました。私は関西センターに実際に行ったことが
なく、写真や資料で得た知識しかなかったのに関西国際センターに
ついて彼らにブリーフィングをしていました。



関西国際センターでの記念写真】


その時、彼らはまだ日本語ができませんでしたが、関西センターで
会った時にはみんな日本語が話せました。よかったと思います。
関西センターと浦和センターで、施設を見たり、そのセンターの
色々なことを説明して頂いたりすることができましたので、
これからは自信をもって研修生にブリーフィングができそうです。

久:確かに、生の現場を見たことがあるのとないのとでは、
ブリーフィングにも大きな違いが出てきますよね。
ロンドンのKimさんは如何でしたか?


Kimさん:今回、研修のチャンスを頂けたことを、ありがたく思って
います。今回のメンバーは私以外、全員アジアからの参加者です。
アジアとイギリスでは日本語事業を行うときの前提というか、
文脈というか、そういうものが違うと思います。
イギリスでの外国語教育の主流はやはりヨーロッパの言語です。
この10年間ほどで、日本語に対するニーズの高まりがあると
いっても、やはりその大枠は変わらないなか、今後の展開を考える
ヒントをたくさん得ることができました。


例えば、ほかの海外事務所のメンバーと知り合って一緒にいろんな
ところを周れたことで、他の国における日本語教育についての
具体的な、最新の情報をみんなでシェアすることができました。
また横浜トリエンナーレを見て、他の団体とのパートナーシップ
強化ということも考えました*2


久:情報と体験の共有、大事ですよね!
バンコクのChanidaさんはこの研修、如何でしたか?


Chanidaさん:まずはジャパンファウンデーションの事業の
全体が見えたことが収穫です。これには全体にかんする
(抽象的な)方針(=JFの規程に示されている役割や中期
目標など)という意味も含まれています。


次に、他のメンバーも言っていたことですが、
浦和や関西の施設や研修をこの目で見ることができたのは
大きな収穫でした。これで研修前のブリーフィングが
充実したものになります。


もう1つは、普段メールや電話で連絡をとるばかりで、
実際にはなかなかお会いする機会のない国内のスタッフ
のみなさんと直接お会いできたことも大きな収穫でした。
やはり実際に会って、顔が見えるようになることで、
これからの仕事はぐっとやりやすくなると思います。


久:Chanidaさんとは何度かメールのやりとりをさせて
頂いていましたが、実際お会いするのははじめてですね。
僕も直接お会いできたことで、今後のお仕事が
スムースになるんじゃないかと思います。
北京の張さんはどうでしたか?


張さん:知識と体験が増えたことが大きいです。
例えば6日目に訪問したジャパンファウンデーション
京都支部。いままでは仕事上の接点もなくて、
私にとって言葉だけの存在でしたが、実際にお邪魔した
ことで、しっかりと京都支部を知ることができました。


北京日本文化センターには日本語を担当している
現地職員がもう1人いて、私は関西国際センター事業は
担当していません。それでも事務所では外部からの
問い合わせで関西の研修事業について聞かれることも
当然あって、そういうときには今まですぐにもう1人の
担当者に回していました。でも今回、関西での訪問を
受けて、関西の公募プログラムも認識も深まりましたし、
今後は外部からの問い合わせにも対応できそうです。


日本語国際センターでは、中国からの研修生と話す
ことができたのが本当によかったと思っています。
研修に参加している皆さんが普段どんなことを
感じているのかを、現場で、より臨場感をもって
フィードバックしてもらうことができたからです。
今回より深く交流を持つことができたことは、
今後の仕事にとって大きなプラスになると思います。


久:なるほど。日本でご自分が担当された研修生と
触れ合って、よりつながりが深まったんですね。
こういうつながりは今後に活きてきそうですね。
では最後にハノイのVanさん、お願いします。


Vanさん:ベトナム日本文化交流センターは、できて
まだ1年に満たない事務所*3ですので、
私ももちろんジャパンファウンデーションに来て
1年目です。そういうわけで、今回の研修は勉強する
ことばかりでした。ジャパンファウンデーション
めぐる状況がわかったのが大きな収穫です。


もう1つの収穫は、メンバーとの交流を通じて、
将来の事業についてのたくさんのヒントを
もらえたことです。もちろん、研修のメンバーだけ
ではなく、国内スタッフからも多くの刺激を受けました。


将来の可能性として、海外事務所のあいだの協力と
いうのもあり得ないのかな?という感想も持ちました。


あと、今回のいちばんの失敗は、王子駅に行くべき
ところを、八王子駅に行ってしまったことです(苦笑)
電車に乗る前に、そばにいた人に「王子駅に行くには
この電車でいいんですか?」って聞いたにもかかわらず、
ですよ。日本の交通システムは複雑すぎます。

久:東京に住んでいる人も、自分の生活圏のなかで
完結してしまっていることが多いのでしょうか(笑)
Vanさん、新生ベトナム日本文化交流センターで
今回の経験をぜひ活かしてくださいね。

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これからも一緒にJF事業を盛り上げていきましょう!



【研修の担当者と記念の1枚】

*1:特に『There Will Be Blood』と『マグノリア』は圧倒的なインパクトでした。本当にすごい作品なので、未見の方はぜひ!

*2:横トリは、横浜市朝日新聞社NHK、そしてジャパンファウンデーションの主催です。

*3:2008年3月10日にオープンしました。