【その4】ベトナムの芸術界をリードする 若手精鋭10名が初来日。 

今日はベトナム4回目です。
何しろ10名いらっしゃったので、長くなってしまいましたが、あと少しの予定です。いましばらくお付き合い下さい。



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(今回の登場人物)

「チーさん」  チュオン ドゥック チー (Đức Trí)
プロデューサー/作曲家


(c)Kenichi Aikawa

中学生の頃から音楽の才能を発揮し、ホーチミン市音楽院に進学。学生時代からロックバンドのメンバーとして活躍。多くのフェスティバルでの受賞歴がある。その後プロデューサーとして成功するも、アメリカ留学を決意。仕事を中断しバークリー音楽院にて作曲を学ぶ。帰国後引き続き作曲家・プロデューサーとして活躍中。



 −今回初来日とお伺いしています。感想はいかがでしたか?


 チー: 私は日本の映画も見ていましたし、日本人の友達もいるので、日本の文化のことをもっと知っていると思っていたんです。でも実際にきてみたら、実は知らなかったことのほうが多くて、少しショックを受けました。



 ベトナムはどちらかというとトップダウンで物事が進む国なんですが、日本は下から上へ、ベトナムとは逆方向で物事が進む国だなとか。



 今回の旅ではいろんな人と会って暖かく迎えてもらいました。そのどれもが作り物の気持ちではなくて、心の底からの気持ちだということが分かって、本当にハッピーです。




 −アメリカにいらっしゃったんですよね。日本にはこれまで来ることがなかった理由ってありますか。



 チー: 機会がなかったということなんですが、ベトナム人は言葉の問題でどうしても英語が通じるアメリカに行くということがあるかもしれません。日本語が外国人にとってのバリアになっていることは確かですね。



 アメリカに居て考えたことなんですが、私たちは自分たちのルーツは変えられないけれど、西洋的なところ、例えば現実的なところとか、率直で寛大なところなんかはもっと学んで、逆にアジア的なところ、家族やコミュニティが中心になるようなところは大切にするというようにして進んでいけばいいんじゃないかなと思っています。




−最近の日本はそのアジア的な良い点がなくなっているのも事実です。大家族も少なくなっているし、隣近所コミュニティのつながりは減っていますが。


 チー: 伝統というのは厳格に守らなくても、それを知っていれば良い、というものもあります。都市で住む人が昔のようなコミュニティのつながりの中で大家族で住むなんてこと、住宅事情を考えると現実的ではないですよね。でも、例えば、両親とは離れて暮らしていても、ちゃんと感謝の気持ちを持っておくこと、そういうことが大事なんじゃないでしょうか。



 -今回の訪日がお仕事に与える影響はありますか?


 チー: 今後作曲などをする際にすぐに何か新しいものが思い浮かぶか、というと、そういうことにはならないと思いますが、自分の内面や考え方には変化があったように思っています。これから、この経験をどう還元していくか考えていきたいと思っています。


 訪問先で会った日本の芸術分野の人々から、大変刺激を受けました。直接は仕事に関係ないかもしれないんですが、今後の自分のキャリアに影響を与えることは間違いないと思います。


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