「一人ひとりが外交官!」ジョン・ホールデン氏シンポジウム報告!★

こんにちは。mioです。すっかり春らしくなってきたと思ったら、今日はとっても寒い日ですね。


さて今日は、3月11日に行われたジョン・ホールデン氏による講演会
「国境を越える文化の価値 〜ひとりひとりが造る「文化外交」〜 」の様子をお届けします!
きていただいた方もいらっしゃるでしょうか?
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そもそも今回の講演会、国際交流基金海外の著名な文化人を日本にお招きする事業がきっかけでした。
文化政策がご専門のホールデンさんは、イギリスにあるシンクタンクDemosで長らく研究をされていた方ということで、
ブリティッシュカウンシル企業メセナ協議会の共催をいただき、講演会が実施できることになったそうです。



ホールデンさんがDemosで書いたエッセイは、なんとウェブサイトからどんどんダウンロードして読むことができます(「僕らがやっているのは出版産業ではなくてアイディア産業なんだ」ということで、無料で公開したところ、現在全世界で約8万部(!!)もダウンロードされて読まれているそうです。「印刷物にしていたら、せいぜい8000部だっただろうね」とお話されていましたが、まさに。



さて、会場となった国際文化会館は、ほぼ満席!今日は後半のディスカッションの様子から、気になった発言の一部をご紹介します。
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みなさんに真っ先にお伝えしたかったのは、ウェブサイトにある論考にも掲載のある「三角形」の話。三角形って…?

ホールデンさん:以前文化の価値についてエッセイを書きました(本文はDemosのウェブサイトにて公開されている)。文化を定義することはほとんど不可能に近いけれど、同僚との長い議論の末、3つの価値に集約されると考えました。


ひとつはIntrinsic(本質的)な価値。個人による、主観的な反応で、気持ちとか、精神的とか、そういった類の価値で、これは測ることができません。オペラのチケットを買って、「創造的経済に貢献できてなんて幸せだろう」と考える人はほとんどいないですよね。


二つ目はInstrumental(機能的)な価値。これは文化が何らかの目的を達成することが出来るかもしれないということで、福祉や経済においてどう文化が関われるか、ということを指します。


三つ目は、Institutional(制度的)な価値。人が集まり、交流することによる価値で、地域の中で一人ひとりがどう感じるか、ひとつの社会の中で、どうやってその一員となっていくかというようなことです。


この3つはばらばらの価値ではなく、競争関係もない。たとえば小学校で美術館を訪問したとします。子供たちは、作品を見てきれい、楽しいと感じ、宿題のレポートを書くことができ、また自分がその地域なり人々に属しているということを感じられるでしょう。

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(上記)三つの価値を示す「三角形」を背景に説明するホールデンさん。

なるほど…この後、「文化外交をするときには、この「機能的価値」というものばかりに焦点が当たってしまうけど、本当にそれでいい結果が得られるの?」という話へ発展していきましたが…コメンテーターのお二人、熊倉純子さんと渡辺 靖さんのコメント刺激的でした!