「『エリンが挑戦!にほんごできます。』検定!(続)


みなさん、昨日のエリケンご覧いただきましたか?

それでは、お待たせしました。正解発表です(*゜▽゜)/°


答え:C 名刺の向きが逆だった

正解映像をご覧ください。


というわけで、この方は名刺を自分の方に向けたまま差し出してしまったのですね。ふむふむ、慌てちゃったのかな、慣れていないからかな?…と、思っていたところ、日本語国際センター専任講師キム講師から面白いコメントがありました。


キム先生韓国と日本で名刺交換についての違いがありますか?

相手に見えるように名刺の向きを変えて渡すことは、韓国でも社会人のマナーとして教えられているようです。でも、会社勤めに慣れていない場合は、あまり意識していないかもしれません。


ただ、両者が片手で名刺を渡したり受け取ったりする場面には、びっくりしましたw(°o°)w 


韓国では名刺に限らず、目上の人や初対面の人に物を渡す時は、必ず両手で渡すか、左手で右手を支えながら渡します。日本でのマナーは、目上の人や立場の上の人に対しても同じでしょうか。


普段、名刺交換をしていると、左手がふさがっているときについ「片手で失礼致します」と言って右手だけで名刺を渡してしまうときがあります。でも、日本でも本当は片手はNG、なんですよね。


また、韓国のマナーでは「目上の方にお酒を注ぐ場合、片手を手首・ひじ・二の腕のどこかに添える。この手の位置が敬意の大きさを表す」ということを韓国にお住まいだった方から聞きました。つまり、チョゴリの裾を二の腕のところでおさえなくてはいけないほど遠く(=席順=位として)にいらっしゃる方だ、という表現だというのです。


尊敬や謙譲の気持ちの表し方はや仕草にはその文化が培ってきた経験があるのですね…。一人の人間の中にもこの文化の経験が感覚として刷り込まれているということなのでしょうか、マナーとして習ってはいても、感覚的にためらってしまうことってありますよね。


私はフランスに住んだことがあるのですが、ワインを注いでもらうとき手を添えない!ワインは専らその席の主人が注ぐ!という習慣になかなか慣れませんでした。


その席の主人というのは大抵私より目上の人なので、すぐに瓶に手が伸びそうになるし、注いでもらうときもグラスを両手で持ち上げて傾けそうになることがしばしばでした。逆に日本に帰ってからは、お酒を注いでいただくときにうっかり傍観していて怒られたこともありました。

A.T.さんはポーランド留学中にそういう経験ありませんでしたか?

そうですね…向こうで感じたのは“レディ・ファーストな文化”でした。

必ずしもポーランドに限らないかもしれませんが、男性がドアを押さえてくれていたり、椅子を引いてくれたり、、日本ではあまり見かけない(残念ながら!)仕草がさりげなく行われるたびに、かえって落ち着かない気持ちを覚えたものでした。

そして、そういう扱いに慣れていないために、まるで自分が特別な扱いを受けているような気がして、勝手に良い気持ちになっていると、実は男性の女性に対する最低限のマナーに含まれている、ごく自然な仕草なのだとわかって間抜けな思いをしたと、同じく留学していた日本人の女友達もよく言っていました(笑)。

キム&NCニコ&渡辺(声を揃えて)

それ、あるある〜〜〜っ!! (^◇^;)>


仕草やマナーに表れるそれぞれの文化の美学(…と言うと大げさでしょうか)に敏感でありたいものです。。


そして、語学の勉強のために映像を見るということには、ことばの訓練だけでなく、そのことばが使われている文化の、こういった些細な事実を発見する、というメリットがあるのではないでしょうか。


ちなみに、今回この問題を出したからといって、決して「これは間違っている!」とか「こうしなくてはダメなんだ!」と言いたいわけではありません。映像からその背景について考える、話し合うという経験を少しでも皆さまと共有したいと思っての出題です!悪しからずご了承ください。


『エリン』への皆さまのご意見、お待ちしております!「ブログにコメントつけるの恥ずかしいワ…」という方は、日本語国際センター宛にメール(urawa@jpf.go.jp)でお便りいただくことも可能です!


実は『エリケン』については、ひそかに第2弾、第3弾も準備していますので、リクエストをお待ちしています。