アジア美術の現在!?

こんにちは、もなかです。
今年基金に入ったばかりの新人で、現在は造形美術チームで働いてます。

今日は先週行なわれた、アジア次世代美術館キュレーター会議(Asian Museum Curators' Conference)についてレポートしたいと思います。



この会議は、アジアの若手キュレーター(美術館などの学芸員)が、顔見知りになって国を超えた共同企画を立てたり、美術品の貸し借りをするネットワークを拡げよう!という目的で2006年から始められました。過去のホスト国は日本やフィリピン、韓国などでしたが、第5回目となる今回はなんと史上初!シンガポールとマレーシアの2カ国をツアーしながら行なわれ、過去最多の25名が6日間、寝食を共にしました。

今回参加したのは、シンガポールとマレーシアはもちろん、日本、韓国、インドネシアベトナム、タイのキュレーターたちです。シンガポールでは一日かけて現地の美術機関を廻り、国立美術館だけではなく、独立したキュレーターやアーティストが運営しているアートスペースも訪問しました。


この会議を一緒に運営してくれたシンガポール・アート・ミュージアム


シンガポール最初の独立系アートスペース、サブステーション。中にはギャラリーをはじめ、ダンスのレッスン室のようなホール、ワークショップのための教室などがあります。


国立教育学院内のアートギャラリー


ちなみに、ジャパンファウンデーションでは、現在活発なアジアのアートスペースを網羅したガイドブックも出版しています。*1

オルタナティヴス―アジアのアートスペースガイド〈2005〉

オルタナティヴス―アジアのアートスペースガイド〈2005〉

興味のある方は是非読んでみて下さい。アジアでのアートの元気さにびっくりするはずです。



次の日はプレゼンテーション三昧。参加者全員が30分ずつ、自分の国や所属機関の現状報告と、興味のあるテーマについて発表をしました。
仲良くなった頃に、みんなでバスに乗りマレーシアの首都、クアラルンプールへ。約5時間の道のりです。


マレーシア国立美術館のバス


マレーシアでも国立美術館はじめ、インディペンデントのアートスペースを廻り、そこのオーナーも交えてディスカッションを行ないました。
テーマは
・キュレーターの役割の変化
・展覧会のお客さんは誰か?
・キュレーター兼アーティストの台頭
など、興味深いものばかり。普段は展示やカタログの仕事に追われて後回しになりがちな
アート産業論、キュレーター論を戦わせました。働く国や機関が違っても、みなさんのアートに対する熱い思いが伝わってきました。


ディスカッション風景。25人で車座になると、壮観?!


過去にはこの会議を通して培ったネットワークを生かして、日韓のキュレーターが合同で企画をした展覧会が実現しました。
今回の参加者たちも皆連絡先を交換していたので、これからいろいろなプロジェクトが生まれるといいな、と思います。


文化芸術って、なかなか目に見える効果は出にくいけれど、時間をかけて築いた人と人とのつながりが、国を超えた繋がりを生むんだなぁ、と実感した初出張でした。