インドネシア・ジャカルタ発 「街でみかけたNIPPON」

休刊してしまった『をちこち』を担当していたOです。

今日は、ジャカルタのYさんから届いた、当地の「屋台」事情をお伝えします。

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インドネシアは、東南アジア諸国の中でも、最も親日的な国の一つといえるでしょう。

街に溢れる日本製の車、電化製品はもとより、インドネシアの家庭で根強い人気を誇る「味の素」など、インドネシア人の生活のあちこちで「日本」の姿を垣間見ることができます。

また、文化面でも然り。J−ポップ、J−ロックや漫画、アニメ、果てはコスプレ、原宿ファッションまで、日本文化は若者の憧れYYの一つです。「日本」の持つ高い信頼性のイメージから、日本語をもじった、怪しいネーミングの製品もかなり多く見受けられます。


面白いものはたくさんあるのですが、今回は屋台についてレポート!!


インドネシアの夜を彩るものは、怪しいネオンの世界ではなく、ずばりワルンと呼ばれる「屋台」です。

冬の無いインドネシアでは、オープンエアの屋台は年中無休。夕方になると、道のそこかしこで、インドネシア各地方の名物料理を出す屋台がずらり勢ぞろいします。今でこそ、こぎれいなファーストフード店風のインドネシア料理レストランが増えたものの、庶民が愛用するのは、やはり屋台。

有名な屋台には、お金持ちの人も車を乗り付けて食べに行くくらい、インドネシア人と屋台は切っても切れない関係です。


星の数ほど屋台が乱立するジャカルタで、生き残るのはなかなかの至難の業。味にこだわるのか、オーナーのキャラクターで売るのか、屋台の差別化も難しいところです。そこで、ひときわ異彩を放っているのが、たまに街角で見かける日本食屋台です。日本食といえば、やはり「高い」というイメージですが、それが屋台で食べれるとは画期的。とうとう日本食もそこまでポピュラーになったのか。。。

早速、日本食屋台「ROKU−ROKU」へ行ってみました。

日本食屋台「ROKU-ROKU」


場所は、ジャカルタ中心部と南部の住宅街を結ぶファトマワティ通り沿い。なんでもこの屋台、90年代に日本食レストランのシェフが独立して作ったとのことで、日本食屋台の草分け!ともいえる存在。偶然、オーナーのハルディ氏にお会いしたので、詳しくお話を伺いました。


ハルディ氏はジャカルタ日本食レストランで、日本人シェフの下で5年間働いた後に、この場所で屋台を1995年に開店。一時は日本食ブームに乗って、ジャカルタ市内に8店舗を展開し、従業員が40人を超えたこともあったとのこと。現在は、経済危機の影響もあり、2店舗9人のスタッフで運営しているそうです。この屋台から独立したスタッフは、別な場所で新たに日本食屋台を展開しています。

オーナーのハルディ氏とスタッフ


気になるメニューですが、TERIYAKI、 KATSU、 YAKINIKU、 TEMPURA、 KARAAGEなど、インドネシア人にもすっかりお馴染みとなった揚げ物、炒め物メニューが中心。YASAI ITAME、NIKU JAGA、 KATSU TOJIなど、なかなか興味をそそるメニューが満載。そこで、悩んだ末、MAKUNOCHIとNIKU DOFUをオーダーしてみました。
そして、出てきたのがこれです!!
手前が「MAKUNOCHI」 奥が「NIKU DOFU」


「幕の内」がなぜか、ビーフとチキンの照り焼きとイカから揚げのコンビ。「肉豆腐」がなんと、揚げ豆腐とビーフの炒めものでした。ここで「なぜ〜、こうなるの??」とつっこみたくなるのを抑え、食してみると、なるほどかなりインドネシア風。厨房を覗くと、「醤油」の姿は見えず、ローカルの調味料「ケチャップ・アシン」が。。。


ハルディ氏いわく、「日本の調味料は高いからね。ローカルのものを使っているんだ。その方が、地元の人の味覚に合うしね。」確かに、「幕の内」が約200円、「肉豆腐」が約150円というお手ごろな価格帯をキープするには、致し方ないですね。むしろ、一度も日本へ行ったことのない彼らが、一生懸命「日本料理」に挑戦している、というその心意気を買ってあげるべきでしょう。

しかし。。。厨房スタッフいわく、「ここのテンプラも、日本食レストランのテンプラも、味は同じだよ!ただ、向こうの方がキレイで、値段が高いだけだよ!」そ、そうですか。。。本場のサクサクッのジャパニーズ・テンプラを、食べさせてあげたい!と心から感じるのは私だけではないでしょう。

慣れた手つきでテンプラを揚げるスタッフ


最後に気になる店名の「ROKU-ROKU」について、ハルディ氏の出身校が「第66国立高校」だったからとのこと。「同級生が遊びに来てくれるんだよね。」たまに、同窓会になることもあるとか。お酒が入らないと盛り上がりにくい日本人としては、アルコール無しの屋台では物足りないかもしれませんが、ここはイスラム国。甘〜いお茶で、何時間も盛り上がれるお国柄。そうやって気の置けない仲間達と楽しく語り合いながら、インドネシアの屋台の夜はふけていくのでした。。。


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